こんにちは!
自然素材・輸入壁紙を使った「住宅リフォームブログ」を運営している
東京都江東区のエーゼン大塚建設 代表の大塚健太郎です
前回のブログでは
レジデンシャルオーガナイズのメソッドを使って
「思い」や「理想」をカタチにして見える化する方法をご紹介しました。
⇒「住宅リフォームで自分たちの思いや理想をちゃんと住宅会社に伝える方法 その1」
今回はライフオーガナイズの講習を受けて
その後の住宅リフォームにどう生かせたかをご紹介します。
私を含め、多くの設計士がおちいりがちな落とし穴があります。
「子供が二人いるので3LDKを確保したい」
そんな相談をお客様からされると
まるでパズルを解くように、部屋のレイアウトばかりに集中してしまうと言う落とし穴です。
その難解なパズルに飲み込まれてしまうと
部屋のレイアウトの中からひねり出した残りのスペースガ収納となり
「思ったよりも確保できましたよ!」
なんて勘違いなプランを作ってしまうんです。
これはお客様の「思い」や「理想」を十分聞き出せていないOUTなパターンです。
今回ご紹介するのケースでも似たような感じで
実際にご家族が直面している問題は
「収納計画である!」
という事に気が付くまで随分時間がかかった事例でした。
■ 講習受講までのいきさつ
洋室が納戸化している家
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Hさん宅は6LDKの広い家なのですが
子供が独立したり、お母さまがなくなられたり
家族構成が変わっているのに、想い出の品だけが残っていて
主(あるじ)のいなくなった部屋は、捨てられない物や日用品のストックであふれる納戸と化していました。
2世帯住宅リフォームを決意したHさんの希望と悩み
●家の中が寒くて生活し辛い
●将来のお父様の介護を想定したプランにしたい
●必要な所は耐震補強をしたい
●長女夫婦と次女の思い、そしてお父様の思いがなかなか共有できない
●物が多い
そんな相談をいただき、私(住宅会社)は設計のコンセプトをまとめました
高齢のお父様が生活しやすく、将来介護が必要になった時でもケアしやすい間取りで、
来客の多いH邸にふさわしい広く・明るく・風通しのいいリビングにし
捨てられない思い出の品や季節用品を仕舞っておく収納を用意する。
住宅会社(私)の悩み
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コンセプトを元に寝室とDKを入れ替える大胆なプランを提案しました。
住宅会社目線でとらえた「生活しやすいであろう」レイアウトです。
でも、本当はお父様が寝室ではどんな暮らし方をしたいのか?
階段横の納戸で収納は十分なのか?
この時、ご家族の思いを十分につかめてはいませんでした。
それでも調整役を引き受けてくれていた娘婿さんは
機能的に配置されたこのプランをとても気に入ってくれました。
きっと左脳タイプなんでしょうね・・・
「ただ、やっぱりお義父さんが抵抗があるみたいで・・・」
これでいいんじゃないと言った翌日には、寝室は動かしたくないと
気持ちが揺らいで決めきらないのだそうです。
結局、私が直接会ってご説明しても、お父様からはOKのお返事はいただけませんでした。
もう一度みなさんの思いと悩みを整理する
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いま一度、情報を整理しようとマインドマップを書いてみました。
するといままで気が付かなかった本当の問題点が見えてきます・・・
初めは「寒い」とか「介護」とか「耐震」という
わかりやすいキーワードにばかり注目していたのですが
実はこのH邸の2世帯住宅リフォームは
収納問題を解決するためのリフォームだったんです!
そこに気付いたので
寝室とDKを入れ替えるプランをどお思うか?
をご家族に再確認しました。
お父様の「抵抗感」がどこにあるのか整理していただくために
このプランのメリット・デメリットを抽出したマトリクスをお見せしました。
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「大塚さん、話の内容をわかりやすい図にしていただき助かりました。
お義父さんにこのプランのメリットを説明したところ、かなり納得した様子です。
収納についてはお義父さんも妹もかなり気になっていたようで、
やはりそちらをしっかりと計画していった方がいいと思いました」
調整役の娘婿さんも安心したようです。
ほっとした様子のメールをいただきました。
こうしてプランの方向性が決まりました。
以前であれば、このまま契約に向けてプランや仕様を絞り込んでいくのですが
その前に是非皆さんには、ご自分たちの「思い」や「理想」と向き合ってもらいたいと思いました。
■いよいよライフオーガナイズ入門講座の受講
私一人がもがいていても、H様が満足できるプランは作れない!
ご家族の皆さんに積極的に2世帯リフォームプロジェクトに関わって欲しい!
心からそう思いメールを書きました。
「どちらのプランで進めるにせよ、ライフオーガナイズのメソッドを使った整理収納は必要だと、
マインドマップを書きながら確信しました。
入門講座にどなたか一人でもご参加いただけると
今回のリフォームが満足できる、快適なものになると思っています」
すると嬉しい事に、妹さん長女夫婦の3名で受講していただけました。
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入門講座は前回ブログでご紹介したレジデンシャルオーガナイズの基礎となる講座ですが。
断捨離とは異なり、捨てる事からは始めません。
まず自分の思考を整理し、自分に合った片づけ方を見つける講座です。
ワークを通して片付けへの意識が変わります
何故いままで片付けられなかったのかがわかり
片付けられない他の家族の事も理解できるようになります。
他の家族の事も理解できるようになる・・・
2世帯リフォームを前に、3人が受講されたことは本当に価値のあることだと思います。
(ご興味のある方はレジデンシャルオーガナイザーの伊藤かすみさんのHPをご覧ください)
受講後の皆さんが実践された事を少しお話します。
●工事の前から少しづつ荷物の整理を始められました。
片っ端に捨てるのではなく、想い出のある品だけど普段は使わない物や趣味のもので取っておきたいものは、3階のロフトに移動しました。
1階には日々必要なものだけ置くようにしました。
●ゴールデンゾーン(もっとも見やすく、手に取りやすい高さのエリア)に物を置くのが大好きなお父様のために
寝室の収納家具のゴールデンゾーンはオープン収納にしました。
さらに左脳タイプのお父様が片付けられるように、引き出しには「シャツ」「下着」と大きなタグが貼られました。
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●階段横の遣いにくかった収納も間仕切りを取り外して使いやすい大きな納戸にリフォーム。
そこに造作で取り付ける仕切りやハンガーパイプはお姉さんの設計です。
寝室と隣り合う明るい納戸には、お父様のオフシーズンの衣類を仕舞っておくので、衣替えも簡単にできそうです。
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●ライフオーガナイズ入門講座のあと、キッチンは既存の造作収納を活かせばそんなに収納がいらない事が分りました。
当初のプランよりシステムキッチンをずらすことになり、おかげでリビングダイニングのスペースが広がりました。
諦めて捨てるはずだった想い出のソファを置く事ができました。
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●お父様の海外勤務時代のお土産のペルシャ絨毯も、丸めたまま部屋の隅に放置してありました。
その想い出の品はお父様のたっての希望で寝室の壁に飾られました。
多分お父様の価値感を共有出来なければ捨てられていた絨毯だと思います・・・
個性的でとても素敵な寝室になりました。
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他にも
●お父様の快適さUPの為に、ベッドのヘッドボードにゴールデンゾーンを造作したり
●既存の下足入れの棚をプチリフォームして妹さんのブーツが入るようにしたり
●リビングの耐震壁で筋違の間にニッチカウンターを設け、そこにFAX電話を置いたり
●洗濯機を移動して広くなった洗面脱衣室で、お父様がちょっと腰かけられるように椅子を造作されたり
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私達プロがアイディアを出す以上に
積極的に意見を交わし
ご家族の皆様が2世帯リフォームと向き合っていただけました。
これって本当に凄い事だと思います。
他人に押し付けられた生活空間ではなく
自分たちで相談し、考え、選んだ生活空間なのですから
快適に過ごせることはもちろん
引渡し直後の片付いた状態がこれからも維持できる事と思います。
そんな風に、H邸の皆様はライフオーガナイズの講習を経て
「思い」と「理想」の詰まった生活空間を手にいれることに成功しました
言い忘れましたが
「リバウンドしない」のが他の片付けメソッドと違うライフオーガナイズの特徴です。
ライフオーガナイズに興味があったり、収納計画をじっくり住宅会社と相談したい!と言う方は
エーゼン大塚建設でご相談いただけます。
お近くにお片は永代ショールームまでお越しください。
